板橋区立美術館での展示販売に向けて、一部の絵本を手製本で作ろうと思い立ち、昔使っていた道具を取り出して、思い出しながら製本を開始。ハードカバーの製本を少部数で発注しようとしたら、大変高額になってしまうので、ハードカバーになる絵本は自分で手製本することにしました。作品のイメージや質感に合わせた紙を選ぶことができたり、簡単な道具で自分の思い通りの絵本が作れるのでおすすめです。お子様や友人へのプレゼントにオリジナルの絵本を作成するのも良いかもしれません。(記事の内容は2019年に書いたものです)
1.裁断した紙を固定

印刷して裁断した紙を揃えてクリップで固定します。
2.鋭い針で穴を開ける

できるだけ鋭い針(目打ち、千枚通し)で、糸で縫うための穴を開けていきます。今回穴の位置はあらかじめ印刷しています。紙の枚数が多い場合は、数枚づつに分けて穴を開けると綺麗にいきます。枚数が多いと、どうしても手前の紙に開く穴が大きくなってしまいます。
3.全ての紙に穴が開いているか確認

ちゃんと貫通しているかな・・・

しっかりと下の紙まで穴が空いているか確認します。
4.針と糸で紙を縫い合わせていきます

糸を適当な長さに切って針で縫っていきます。作品に合わせて糸の色を変えてみるのも良いですが、今回は作品の邪魔をしないように、オーソドックスな白色の糸を使いました。

波波に縫っていきます。反対側まで行ったら、戻っていきます。

本文紙を縫い合わせた後に、不要な部分を裁断してサイズを揃えます。
5.開いたり閉じたりの動きを助ける寒冷紗を貼り付けます。

こちらの材料は寒冷紗(かんれいしゃ)というものです。

とても薄い素材ですが触ってみるとわかるのですが意外としっかりしています。

寒冷紗(かんれいしゃ)はテープ状のものも売っているので、切らなくてもいい場合がありますが、基本的には製本する本のサイズに合わせて切り取って使用します。

左から、スティックのり、寒冷紗、本文紙です。今回は扱いやすいスティックのりを使用して作ってみます。

寒冷紗を本文紙の綴じた部分に貼り付けていきます。

このように、本文紙を寒冷紗で挟むように貼り付けます。

これで三冊分ができました。
6.続いてハードカバーを作ります

まず用意するのはボール紙。

ここでは、表、裏、背表紙と三種類のパーツが必要です。

測った線に合わせて、厚紙をカット。

このように三つのパーツを切り出します。
7.ハードカバーをつけて完成



写真左/パッケージ用の紙袋 右/手製本のハードカバー。紙は竹尾ペーパー(TAKEO PAPER)のタブロ紙を使用しています。ザラザラとした質感で新聞紙のような風合いのある独特の紙です。薄いので製本するのは少し難易度が高いですが、ハードカバーの質感がモルタルのような雰囲気にもなりモノクロームの作品との相性がとても良かったので使用しました。
絵本作家として活動しています。作品は主に視覚表現である絵と文章表現である物語を組み合わせ、記憶や懐かしさを題材に制作しています。